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2017/01/23(月)

コンプレックストレーニング@トレーニングキャンプ

カテゴリー:スポーツブログ:プロから育成まで、身体運動を科学する

 

大学の体育館の駐車場より、

 

先日、北海道大学バスケットボール連盟の強化事業、男子・2次トレーニングキャンプで、相棒の柴田氏とともにトレーニング指導をさせていただきました。

僕に与えられたセッションは、「コンタクト強化、下肢筋力・脚力強化」です。フロアでのコンタクト&スライドor ジャンプ、トレーニングルームでの下肢筋強化を実施しました。

今回は上記のうち、トレーニングルームでの筋トレについてシェアします。特に、スクワット&ジャンプ、いわゆるコンプレックストレーニングを導入しました。

 

今回のキャンプでのコンプレックストレーニングの目的と概要を↓

で簡単に説明しています。

以下詳細です。

 

コンプレックストレーニングは、爆発的パワーを向上させる方法です。Fleck&Kontorらがコンプレックストレーニングを初めて論文として発表しました。それによると、コンプレックストレーニングとは、高強度レジスタンスエクササイズ後、続けてより低強度でバイオメカニクス的に近い動作パターンのエクササイズを実行するもの としています。

 

理論的には、神経系、筋系、精神運動系の特性を引き出すことで、後の低強度エクササイズのパワー発揮を向上させることを目的としています(2003,Bakerら、2009,Bevanら)。

 

生理学的原理

そもそもコンプレックストレーニングで効果を出そうとした背景には、※活動後増強(PAP;Post-Activation Potentiation)という前提条件があります(2005,Robbins)。

※PAP〜筋収縮後に発揮筋力が即時的に増大する現象(2000,Hamadaら、1996,Paasukeら、2002,Saleら)

PAPのメカニズムは、

①最大もしくはそれに近い筋収縮により、運動神経の興奮性が高まる(1998,Trimbleら)。これらは運動単位の増加・同期性の向上、前シナプス抑制、中枢からの運動ニューロンへの入力増大により起こりうる。←簡単にいうと、運動神経が活発になる、ということ。

②強い収縮の後、筋の最小単位であるアクチン-ミオシンのクロスブリッジの数が増加することによる。←簡単にいうと、筋肉内でより力を出せる ということ。

 

と考えられていますが、現時点ではこれらの神経-筋メカニズムは完全には解明されていません。

しかし、活動後増強は確実に起こることが証明されています。

 

短期的効果

コンプレックストレーニングにおいて、効果があったとする報告がある一方で大きな変化はないとするものもあります。ですが、ほとんどの研究で、マイナスに作用したというものはありません(2006,Comynsら、1997,Ebbenら、2003,Jensenら、2003,Jonesら)。したがって、筋力、パワーを同一セッション内で強化し、トレーニングの効率を上げる可能性は高いと考えられます。

 

長期的効果

コンプレックストレーニングは、長期的に見ても神経筋の適応が起こることが示唆されています(1996,Gullich,Schmidtbleicher) 。一方で、MacDonald(2011,2012)らによる数週間のコンプレックストレーニングの効果検証がされ、コンプレックストレーニングは多くの研究でレジスタンストレーニング、プライオメトリックトレーニングと同等の効果にとどまっています。Santos(2008)なども、コンプレックストレーニングが他のトレーニング群と比較して、わずかに効果的であったとしています。

これらから、コンプレックストレーニングはその他のトレーニングよりもトレーニング時間、強度が高いこと、他のトレーニングより著しく優れている訳ではないことが伺えます。

 

最大下収縮後の休息時間

研究によると、短い休息時間では直後のパフォーマンスが低下するとしているものが多いです(2009,Bevanら、2003,Jensenら)。PAPによるパフォーマンスアップにはおよそ4分の休息時間が適しているとするものがいくつかあります(2006,Comynsら、2002,Ebenら)。

が、確実ではありません。これには個人差が大きいようです。この時、性別は効果にあまり影響しないようです(2006,Comynsら、2003,Jensenら)。ただ、最大もしくはそれに近いエクササイズは高負荷にするのがいい(2009,Matthewsら)のは意見が一致しています。

また、爆発的動作をする前の最大収縮の最適時間は議論の余地があります。

 

注意点

コンプレックストレーニングは、最大下エクササイズの負荷が高すぎると筋疲労により、PAPを隠してしまう可能性があります。上記のように休息時間や負荷設定に関しては、現場で検討する必要があります。

多くの研究者は、選手個人のトレーニング状態によって、活動後増強の利用状況を決定することを示唆しています。これはスクワット後のジャンプの向上率と5RMスクワットの強さとの間に相関があるという報告によるものです。

一方で、対象者の鍛錬レベルにかかわらず活動後増強は起きないとする意見もあります。ですが、ストレングスの高低を明確に示すのは非常に難しく、ストレングスレベルが高ければPAPを利用できる可能性はあると思われます。

 

今回のキャンプにおける導入の理由

上記のように、コンプレックストレーニングは、時間と労力をかけた割に大きな効果は認められていません。もっと言うと、短い休息時間では直後のパフォーマンスが落ちるようです。

 

ではなぜ取り入れるのでしょうか?

それは、

①追い込むため

ウエイトトレーニングの中でも身体に強い負荷をかけ、その後のパワーアップを狙っています。また、科学的ではありませんが、辛く体が動かない状況でもリミッターを外せるような精神的なタフさも刺激できたらな と考えています。

 

②スクワット時の下肢筋・体の使い方とジャンプ動作のリンク

バスケットは走る、跳ぶ、切り返すことが非常に多いスポーツです。その中で強い動作をするために必要な下肢筋群をスクワットにより刺激しています。ですが、それだけでは不十分で、スクワットで使った体の使い方、筋肉の使い方をそのままジャンプでも使って欲しいのです。その意識づけ、動作の高い学習効果を狙ったトレーニングでもあります。

 

以上、皆さんがトレーニング指導する上で何かの参考になれば嬉しいです。

 

 

 

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